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タイトル(表):クエーサーと銀河団の相互相関関数で調べるクエーサーと暗黒物質分布との関係
(The connection between quasar and dark matter distributions studied with the cross correlation of quasars and galaxy clusters)

アブストラクト(表):
 宇宙の質量の大部分はダークマターが占めるが、直接観測できない。しかし、どのように銀河がダークマターハローに集まるかを調べることは銀河形成や進化を考える上で重要な手がかりになる。このため、銀河はダークマター分布を調べるためのトレーサーとして使われてきた。ここでは、ダークマターハローの中にある銀河の数(HOD)を数えることでこれを調べる方法に着目する(Coupon et al.2012)。HODはangular correlation functionと関連しており、これを計算し観測と比較することで、HODを推定することができる。
 近年では、この考え方がクエーサーにも適用されている(Kayo&Oguri 2012、Shen et al.2013など)。しかしながら、いくつかのHODモデルで、どのモデルでも観測を説明できてしまうというモデルの縮退が生じており、ハロー質量M~1015M◎でのHODのふるまいが議論されている。この縮退を解くために、銀河団とクエーサーのCross correlation functionを考え、これからHODを計算すれば、モデルの縮退が解けると期待される。本研究ではSDSSの銀河団とクエーサーの観測を使い、この問題について議論する。
References (表):
Coupon, J et al.2012, A&A 542, A5
Kayo, I. and Oguri, M. 2012, MNRAS,424,1363
Shen, Y et al. 2013, ApJ, 778, 98


アブストラクト(和田)
2011年に MAXI によって発見された軟 X 線トランジェント MAXI J0158-744 は, 非常に重い白色矮星 - Be 型星連星での新星と考えられているが, 可視光が観測されておらず, 継続時間が短く (∼ 1300 s), 非常に明るい (∼ 2.0 × 10^40 ergs^−1) といった特異な性質を有しており, 特に, 白色矮星の質量に対して, エディントン光度の 100 倍を超えるような光度について, 未だ理論的な説明がなされていない. この研究では, 特にこの光度を説明するために, 新星風の理論 (Kato and Hachisu. 1994) を用いて, 観測されたような光球のパラメータの範囲で, 光度を再現出来るような解が存在するかを調査した. その結果, チャンドラセカール限界程度 1.4M⊙ や, これを超える 2.0M⊙ といった質量を持つ白色矮星においても, 観測されたような光度の再現は困難であることがわかった. 光度を上げるには, 白色矮星の質量を重くするか, 遷音速点での密度を下げる必要がある. 白色矮星が高速に自転していたり, 強い磁場を持っている場合には, チャンドラセカール限界を超えても安定に存在できる可能性は示唆されており, どの程度までが現実的なのかを検討している. また, 加速が起きている遷音速点が光球の外側の光学的に薄い領域に存在することで, 輻射のエネルギーが失われず, 高い光度が保たれる可能性も考えられる. しかし, 光学的に薄い領域を記述するためには, 新星風の理論を拡張する必要があり, 現在の課題としてこれを行っている.


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