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講演者 : 藤林翔 (京都大学)
時間 : 16:30 -
場所 : 4号館6階1624
タイトル : 極超新星でのニュートリノ駆動風における重元素合成過程
概要 :
 我々や、我々の身の周りの物質を形作る数多くの元素は今までの宇宙の歴史の中で作られてきたが、数々の元素合成計算を用いた研究の結果は太陽系の重元素組成を完全に再現するには至っておらず、これらの重元素を生み出した天体について追求することが重要な課題となっている。
 近年発展した数値相対論による大質量星の崩壊の数値シミュレーションによると、中心にブラックホールを残すような大質量星の崩壊時には、太陽質量の3倍に達する質量の大きな中性子星が一時形成される可能性が示唆されている。このような状況は極超新星において実現する可能性があり、本研究ではこの状況における重元素合成の可能性を調べた。質量放出機構として neutrino-driven wind を考え、ニュートリノ吸収による加熱、ニュートリノ放出による冷却を取り入れた定常解を構成した。状態方程式には Timmes の状態方程式を採用し、冷却率には電子の縮退の効果も取り入れた。以上のように構成した流体の解での温度・密度の時間発展の上で元素合成計算を行い、主にニュートリノの平均エネルギーに焦点を当ててパラメータによる依存性を調べた。
 その結果、シミュレーションで示唆されるパラメータにおいて弱いr-processが起こり、結果の組成はweak-r starと呼ばれる、特徴的な元素組成を示す星のものと良い一致を示した。そのため、極超新星でのr-processはこれらの星の重元素の起源である可能性がある。また、パラメータ空間の中のYe > 0.5 となる多くの領域で強い νp-process が起きることがわかった。特に、通常の超新星における νp-process では達成し得ないような大質量数 (A > 110) の元素がいくつかの場合に生成された。これは太陽系の一部の陽子過剰核の起源を説明する可能性がある。
 本講演では、これらの結果について発表する。また、Yeが0.5に近いパラメータ領域において、特異な元素合成過程が進むことが分かった。時間があればこの結果についても紹介する。


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Last-modified: 2015-10-14 (水) 15:16:14 (1370d)