[[UTAPwiki/セミナー/天体核セミナー]]

講演者 : 石井彩子さん(東北大学)
講演者 : 石井彩子(東北大学)
時間 : 16:00 -
場所 : 4号館6階1624
タイトル : GRB放射を再現する超相対論的流体-輻射輸送カップリング計算に向けた検証
アブストラクト : 
 宇宙最大級の爆発現象であるガンマ線バースト(GRB)は, 発見から40年以上経つ現在もその詳細な放射メカニズムが解明されていない. Long GRBの起源は大質量天体周辺で形成される相対論的ジェットであると考えられており, ジェット中における様々な放射モデルについてこれまでに数値的な研究が行われてきた. ジェット構造をモデリングした定常流体場における輻射輸送計算からGRBの特徴的な非熱的放射スペクトルを再現できる可能性が示され, 一方で相対論的流体計算からジェットは非一様で多次元的な構造を持ちながら時間発展し, さらにその構造が放射スペクトルに影響を与えることが指摘されてきた. これらより, GRB放射を数値計算上で再現するためにはジェット内部構造の時間発展を考慮しながらその内部での光の輸送を詳細に取り扱う必要があり, これには相対論的流体と輻射輸送のカップリング計算が必要となる. ジェットが光学的に厚い状態から薄い状態に至るまで計算を行う場合, 輻射と物質の相互作用によるフィードバックおよび輻射の非等方性が計算結果に影響を及ぼすことが考えられるが, 超相対論的流体場を考慮しなおかつこれらの効果を含めたカップリング計算はまだ行われてきていない.
 我々は上記のようなカップリング計算を目指し, 超相対論的流体場中での輻射輸送計算手法を検討してきた. モンテカルロ法を用いて散乱過程を考慮した3D輻射輸送計算コードを構築し種々のテスト計算を行ってきた結果, 精度良く計算を行うために必要な時間幅や空間解像度などの計算条件を見積もった. これらの条件は流体計算とのカップリングを考える際に非常に厳しい条件となり得るものであり, 現実的な計算コストである程度高精度の計算を行うための手法についても検討していく予定である.

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